塩基性炭酸カルシウムを利用した高付加価値製品の開発第2報
−BCC炭酸化による生成物の構造と形状について−
佐藤 壱。谷口秀樹
工業化学部
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要 旨
本研究では,合成した塩基性炭酸カルシウムの炭酸化による構造及び形状の変化について調べた.炭酸化は湿式及び
乾式状態で行った.BCC合成時に添加剤を加えたものについても実験を行った結果BCCへの添加剤や炭酸化の条件
等によって,構造や形状の異なった炭酸カルシウムが生成することが分かった.
価値製品の開発が急務である.BCCの炭酸化による
構造及び形状の変化について調べた.
2.実験方法
21 BCCの合成
津久見産石灰石粒径30∼20m
m
を電気炉で950
℃を6時間焼成し炉内で自然冷却した物を原料生石灰(C
aO
)とした.このCaO
を60℃の温水400m
l に20
gを賛辞しながら投入し10分間水和させ,150メッシ
ュのふるいを通過し濃度調整を行った石灰乳400gを原料
石灰乳とした.BCC合成装置は1)の通りである,
反応過程の様子を見るため,PH■ 導電率&反応温度を
モニターした.BCC合成条件で石灰乳量400gと導入ガ
ス中の炭酸ガス濃度20(Ⅴ01%)は一定としたむ①.スクリュー回転数1500RPも官署導入ガス量は1000ml /ノ
mi n反応開始温度15.0こc,石灰乳濃度5(Wt %)で合成し
たBCCを用いた.
①。添加剤としてヘキサメタ燐酸ナトリウム(NaPO3)6
及びトリポリ燐酸ナトリウム(Na5P3010)を0.0250.05
0.10.2mol %を導電率4(s′ ノ′ m)時点(A)で加え最降下点
(B)から3分後(C)反応を停止したもの,導電率の
変化をFl gl に示す.
2.2 炭酸化方法
炭酸化はオートクレーブ炭酸ガス濃度20(もr ol %)で
常温常圧で炭酸化を行った.
①.合成後ジブナ一口ートで真空濾過し,湿潤状態の
1. はじめに
漆喰等の壁材として発展してきた石灰産業は江戸期に
は肥料用,明治以降には鉄鋼,セメントに利用されるよ
うになり平成2年には生産量100万トンを越えるピー
ク時を迎えた.しかし鉄鋼,セメント産業の技術革新に
よる使用量の減少,単価ダウンの現状にあり,じり貧の
様相を呈している.
一方塩基性炭酸カルシウム(巨as i cCaニc皿亡a血∂t 2,2CaC… e(〕H)2・
1.5帆以下BCCと言う)は石灰乳の炭酸化反応生成物
として,CaCO3とCa(OH)三及びH20の複塩として生
成することが古くからが推測されていた。BCCの合成
はBCCからCaCO。への炭酸化における条件を変化さ
せることにより,形状制御が可能になり,CaCOLうの形
態制御する中間体の一つとして,近年注目されている.
しかしBCCは水の存在下や加熱によってCaCO。とC
a(0王づ)こに分解し結晶構造や形態が変化する.また石灰
乳のBCCの合成は条件によって厳しく制限されるt B
CCを中間体としたCaCO。は形態制御が簡単で特定の
形態及び大きさのCaCO。を合成できる.
大分県では上質の石灰を大量に産出しており,県南地
方の重要な産業である。前記の閉塞感を「現状打破」す
るためには,石灰固有の機能に,新しい視点から系統だ
った研究開発,製品開発を実施する事が必要不可欠であ
る.この問題を解決するため,石灰石を利用した高付加
平成11年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
ほとんど無かった.120日後のBCCにカルサイト(
炭酸カルシウム)のピークが確認された程度で形状の変
化もみられなかった.
添加剤を導電率A点で添加しC時点で反応を停止した.
添加剤を加えない時の写真を下記に示す. B C C.
②.アセトンで脱水洗浄後真空乾燥し粉砕したBCC
③.②を電気炉で850℃8時間焼成しデシケ一夕ー中
で脱炭酸ガスした湿潤空気で消化した消石灰. ④.②③を乾式及び湿式で炭酸化した物.
生成物の確認は走査型電子顕微鏡(SEM)およびⅩ線
回折装置(ⅩRD)により行った.
導電率のま化
︵∈\仏︶髄#欝
30 35
0 さ 10 15 20 25
反応時間(分〉
Fi g.4 C時点でのBCC
A時点で反応停止したBCCと比較するとⅩRD
でカルサイトの存在が確認された,写真では立方体
の形状をしている.
3.2 ヘキサメタ燐酸ナ川ウム添加剤による炭酸化
A時点で反応停止し真空濾過し,湿式状態のB
CCを炭酸化した化合物はFi g.5及び6に示す. Fl g.1 導電率の変化
3.結果と考察
3.1′ BCCの経時変化
Fi g.1でA時点で反応を停止しアセトン脱水後真空を乾
燥をしポリ容器で120日間室内保管したたBCCの変
化をFi g.2及び3に示す.
Fi g.5 添加物無し 湿式炭酸化 Fi g.2 合成直後
Fl g.3 合成120日後
上記BCCのⅩRDについても調べたが,変化は Fi g.6 添加物無し 乾式炭酸化
状の形状をしたカルサイトが合成した.
ヘキサメタ燐酸ナトリウムを0.025 0.1mol %を添加し炭酸化した結 を果Fi g.7及び8に示す.
Fまg。9トリポリ燐酸ナ川ウム0。025mol % 音憩式炭酸化
Fi g.7ヘキサメタ燐酸ナトリウム0.025mol %添加 湿式炭酸化
Fi g.10トリポリ燐酸ナトリウム0.1mol % 湿式炭酸化
ヘキサメタ燐酸ナトリウム及びトリホウリ燐酸ナトリウムの添加効果は非常に
良く似ている,0.1mol %添加した物は板状や立方体とな
った.0.025mol %添加した物は,導電率Cで反応を停止
しで無添加で炭酸化して合成された物ともよく似ている
0.025mol %添加ては添加効果はなかったのか,また影
響しなかったと思われる.
導電率Aで反応を停止したBCCを水分が充分ある状態
で何も添加せず大気中の炭酸ガスで炭酸化した場合の生
成物の形状はFi g.11の通りで紡錘状となり2〃m程度で
均一なカルサイトが生成した.
Fi g.8ヘキサメタ燐酸ナトリウム0。1mol %添加 乾式炭酸化
0。025%添加し湿式で炭酸化した物は無添加より少し大
きな形状のカルサイトが合成した.乾式炭酸化でも形状
は同じであった.
0。1%添加し乾式で炭酸化た結果,立方体となった.湿
式でも同じ形状であった.
ヘキサメタ燐酸ナトリウムを添加し炭酸化物の形状は,湿潤,乾式
とも同じで,これは湿潤状態で炭酸化を開始しても乾燥
し,また乾式で炭酸化してもは反応で発生する水が存在
するためでないかと思われる.
3.3トリポリ燐酸ナトリウム添加剤による炭酸化
トリポリ燐酸ナトリウムを0.0250,1mol %添加剤し炭酸化した
生成物の写真をFまg.9及び10に示す.
ト膵り燐酸ナトリウムを添加し炭酸化した場合もヘキサメタ燐酸ナ
トリウムと同様に湿潤,乾式とも同じであった。0.025mol %
添加した生成物は直径が0.5∼0.7〃mの球状に近い形状
をしていた.0.1mol %添加し炭酸化したものは0。5〟m以
下で板状,立方体状で小さく不均一なものが生成した,
湿潤,乾式炭酸化で形状の差はなかった.
Fi g.11紡錘状炭酸カルシウム
今回の実験で導電率Cまで炭酸化を行ったのは溶液中で
添加剤による形状制御を行ったがヘキサメタ燐酸ナトリウム及びトリ
ポリ燐酸ナトリウムでは立方体炭酸カルシウムの合成の可能性
があることが分かった.
平成11年度 研究報告 大分県産業科学技術センター
造も燐酸塩の種類及添加量による変化は無く,全てカル
サイトであった。Ⅹ線回折をFi g.14(次頁)に示す.
4.まとめ
大気中炭酸化によるの形状制御の実験では添加剤とし
てヘキサメタ燐酸ナトリウム,トリポ順酸ナトリウムを使用したが今後有
機カルポン酸系化合物を添加剤として形状,結晶構造へ
の影響について検討しなければならない.
またBCCから炭酸カルシウムに炭酸化されその各過
程での細孔分布,調湿機能等の環境適
合機能材料特性を調べる必要がある. 3.4 BCCを焼嵐 消化した消石灰の炭酸化
焼成し消化した消石灰は,トリポリ燐酸ナトリウム及びヘキサメタ
燐酸ナトリウムを添加したBCC全は同じ形状をした,消石
が生成した.
う 遥テ茸二
本研究の指導していただいたタ名古屋工業技術研究所
の芝崎清雄統括研究調査乱(協)津久見ファインセラミ
ックス研究センターの杉原久夫氏に感謝します.また本
研究は地域活性化連携事業費補助金によって行われ,測
定に用いたⅩ線回折装置は日本自転車振興会により平成
9年度導入された, Fl g。12トリポリ燐酸ナトリウム0.025mol %:BCCを
焼成後消化した消石灰
BCCを焼成後消化した消石灰を炭酸化し生成した炭酸
カルシウムの形状も燐酸塩の種類及びト膵り燐酸ナトリウムの
添加量の影響は無く,非常に小さな炭酸カルシウムを合
成した.炭酸化し生成した炭酸カルシウムの形状も燐酸
塩の種類及び添加量の影響は無く,非常に小さな炭酸カ
ルシウムを合成した.
Fi g.13(Fi g.12)を乾式炭酸化した物
3.5 結晶構造の変化
添加剤としてヘキサメタ燐酸ナ川ウムを0.0250。050.10。2mo
l %を導電率(A)で添加し(C)で反応を停止し合成さ
れたBCCのⅩ繰回折をFi g.14(次貢)に示す。添加量
による変化は認められなかった。
トリポリ燐酸ナトリウムを添加し合成したBCCの結晶構造も Fl g.14と同じであった.形状も板状で同じであった.
トリポリ燐酸ナトリウムを添加し合成したBCCを焼成後消化
mnt s ノs
20 25 30 35 40 45
23−0107 Cal ci u 05−0586 Cat dt e
銅−0733 Por t 】8r di t e
Fi g.14 ヘキサメタ燐酸ナトリウムを添加したBCCのX繰回折
COUnt S/s
4
0.2md%